Angle Class I Crowding Case |
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田中勝治会員 |
患者は一般歯科医の紹介により、平成6年4月4日に来院された17歳の女性である。主訴は前歯部の叢生である。 (1)顔面写真において鼻唇溝およびオトガイ筋の緊張が認められず、口唇の後退感が認められる。 (2)パノラマ写真では上下顎左右に第3大臼歯がある事を除いて特に問題は認められない。 (3)側貌セファロでは骨格的には前後的には問題は無いが、垂直的には中程度のブレーキー・フェイシャル(短顔型)の骨格を示している。上下顎前歯部の舌側傾斜が認められる。それに伴い、上下口唇の後退感が認められる。 (1)側貌セファロでは骨格的な非対称は認められない。 (2)CPI (Condylar Position Indicator) では最大咬頭嵌合位と中心位にディスクレパンシーは認められる。 (3)口腔内写真では前歯部に反対咬合と中程度の叢生が認められる。 (4)中心位で咬合器に付着された状態において右側上下中切歯にファ−ストコンタクトが認められる。また、左側においては級関係が認められる。 [問題点のリストアップ&治療計画] ・中程度のブレーキー・フェイシャル ・上下口唇の後退感 ・下顎前歯部の舌側傾斜 ・叢生 [治療計画] ・上下左右7Ext 上下顎において、アドバンス・ユーティリティー・アーチ、アクティブ・オメガなどの前後的に拡大するワイヤーおよびオープン・コイル・スプリングを用い、補助的に上顎大臼歯を遠心に移動する目的でペンデュラムを用いる。 それほど複雑な問題点はないので、通常の矯正治療のゴ−ルを説明し、上下顎左右第二大臼歯の抜歯および矯正歯科治療における約束その他について患者に納得し、合意していただいた。また、歯周組織の状態を検討しながら治療を進め、必要があれば、上下顎左右第一小臼歯の抜歯の可能性がある事も伝えた。 【治療経過】 (1)94/8/29 ブラケット(.018スロット)装着。 (2)94/11/21 ペンデュラム装着。 (3)95/3/3 上下顎:第二小臼歯の遠心移動。 (4)95/7/18 上顎:角ワイヤー(.016×.016 ブルー・エルジロイ )にて前方拡大、下顎:角ワイヤー(.016×.016 ブルー・エルジロイ )にて左側小臼歯および右側前歯の遠心移動。 (5)96/3/11 上下とも.016×.022 Ni-Tiを装着。その後、上下とも.016×.022ブルー・エルジロイを装着し、96/12/25にブラケットを外した。動的治療期間は2年4ケ月であった。 (6)保定はトゥ−ス・ポジショナーを用いた。 (7)矯正治療後2年10ケ月後の口腔内写真においてほぼ安定していると思われる。 |
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