咬合あるいは顔貌に対する患者の意識の変化と顎変形症治療への健康保険導入などを背景として、顎矯正手術症例が増加してきている。これにともない、矯正歯科側および口腔外科側双方において、治療材料や診療技術の向上がはかられてきた。
一方で、患者側の要求も多様となり、かみ合わせの問題以外に、顎関節症状への配慮や審美的要求への対応、さらには治療期間の短縮化なども考慮しなければならない。
このような状況でわれわれが考えなければならないのは、矯正歯科医と口腔外科医の双方が、個々の患者における治療のゴールについて共通の認識を持ち、より効率的でより安定性のある治療法を目指すことであろう。
顎変形症治療に口腔外科担当者として関与してきた経験から、口腔外科側から見た現状の問題を整理すると、
- 口腔外科には術前矯正がかなり進んでからの受診が多い。したがって、手術法や手順は画一的になりがちである。
- その結果、手術を担当する側は、骨を切って咬ませるということだけを考えがちとなる。「何分で骨が切れるか」、「出血量をどれくらい少なくできるか」という方向に関心が向かい、顎骨の位置や将来的な安定性について配慮する機会が少なくなる。
- 一方で、患者側は、手術を比較的安易に考えている傾向がある。などがあげられる。
今回お話しさせていただくにあたり、
- 口腔外科医的アプローチとして、どのような手法があり、その適応はどのようなものか。
- 術前矯正において、口腔外科側からお願いしたいことはどのような点か。
などについて症例を通して説明し、今後の治療計画立案の参考にしていただければと考える。
【ご略歴】
澤木佳弘(さわきよしひろ)
| 昭和57年3月 |
東京医科歯科大学歯学部卒業 |
| 昭和57年5月 |
信州大学医学部附属病院医員 |
| 昭和57年10月 |
佐久市立浅間総合病院歯科口腔外科医師 |
| 昭和62年2月 |
名古屋大学医学部附属病院医員 |
| 昭和63年12月 |
名古屋大学医学部口腔外科学講座助手 |
| 平成3年3月 |
袋井市立袋井市民病院歯科口腔外科部長 |
| 平成5年4月 |
名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科助手 |
| 平成7年10月 |
名古屋大学医学部附属病院分院歯科口腔外科講師 |
| 平成8年10月 |
名古屋大学医学部附属病院総合診療部講師に配置換え |
| 平成10年7月 |
RoyalChildren'sHospital(Melbourne,Australia)留学
〜平成11年2月 |
| 平成14年4月 |
中津川市民病院歯科口腔外科部長 |
| 平成14年10月〜 |
名古屋大学医学部臨床助教授 |
| 平成14年11月〜 |
福井医科大学非常勤講師 |
| 2000.10〜 |
日本・多国間臨床試験機構倫理委員会委員 |
| 2001.4〜2002.3 |
静岡県立大学短期大学部 非常勤講師 |
| 2001.5〜 |
日本弁護士連合会 人権擁護委員会委員 |
| 2002.4〜 |
総合病院聖隷浜松病院 治験審査委員会委員 |
| 2002.8〜 |
愛知県医療審議会委員 |
現在に至る
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